10分で納得!合同会社設立のメリットとデメリット

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これから起業を考えている方にとって株式会社と合同会社一体どちらが自分に合っているのか気になるところではないでしょうか?

今回は独立に向けて日々努力しているあなたに合同会社のメリットデメリットについて公開致します。

ぜに参考にしてみてください。

1.合同会社とは・・

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合同会社は2005年(平成17年)に成立、2006年5月1日より施行した会社法により、新しく設けられた会社形態です。

それまでは、株式会社、合名会社、合資会社、有限会社の4つの区分が有りました。この株式会社と有限会社を統合して株式会社とし、それまでの合名会社、合資会社に、新しく新設した合同会社の3形態を持分会社とする2種類の会社類型が認められるようになりました。

これにより、有限会社は新しく設立することはできなくなっています。

合同会社はアメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとして作られたので、日本版LLCとも呼ばれています。

設立が比較的容易なのと、法人も社員となれるところから、企業間での共同事業や産学連携などにも多く採用され、年々その数を増やしています。今後は個人事業でも設立件数の増加が見込まれています。

1−1.株式会社と何が違うの?

株式会社も合同会社も出資者は全員「有限責任社員」です。出資した範囲の有限責任を負います。株式会社との大きな違いは、株式会社は出資者と経営者は分かれていますが、合同会社は出資者と経営者が同一人であるところです。

合同会社の社員は出資者であり取締役ですので、事業に対する意思決定が早くでき、小回りの利く、機動性に富んだ経営が出来ます。定款で業務を執行する社員を決めることもできるうえ、社員間や社員と会社間の設定も自由にできます。

合同会社は決算公表の義務がなく、監査機関の設置、各社員の議決権、利益の分配に関しても自由度が高いなど、起業しやすい条件が整っています。

1−2.こんな方はメリットあり!

誰でも人に雇われていると、意に沿わない仕事をしなくてはいけないことも有ります。キャリアを積み上げて自分に自信が付いてきた頃、起業を考える人も多いでしょう。

合同会社は出資者と経営者が同じですから、出資者たちが話し合って自由に事業の方向を決めることが出来ます。自分たちで自由な経営をしたい人達に向いています。

社員の議決権(意思の決定権)や利益配分も定款で自由に決められますので、出資額に拘らず、技術やノウハウ、アイデアを適正に評価できますので、社員一人一人に満足度の高い働き方を提供出来ます。

合同会社の設立費用は株式会社より安く抑えられますので、取引先との契約上や事業を展開していく上で法人格が必要な場合の、入り口としての設立形態にもなります。一般的には個人事業よりも法人格の方が、社会的信用度は高くなります。

合同会社は必要に応じて株式会社に転換することもできます。最初は仲間内で合同会社として起業し、事業が大きくなれば株式会社に移行する方法を取るケースもあります。

1−3.合同会社のデメリットとは

合同会社のデメリットに社会的信用度が有ります。個人事業よりは社会的信用度が高いとはいえ、株式会社と比較すると小規模(零細)であるというイメージはぬぐえません。合同会社の決算は非公開なので、新規に取引をしようとする相手からは経営状況が見えにくい点も挙げられます。

アメリカのLLCには利益に対する直接の課税がない、パススルー課税方式が取られていますが、日本にはこの方式は適用されていません。あくまでも法人として、法人税や法人住民税の課税対象となります。

また、仲間内で設立しやすい利点は、お互いの事業の方向性や報酬について考え方にズレが生じた場合には逆に作用してしまいます。社内で意見の対立が起き、事業の停滞を招くことも有ります。

合同会社の代表者(社長)は「代表社員」という呼び方になります。名刺などにも「代表取締役」とは書けませんので、名称の上ですこし重みに欠ける感じを持つ人もいるでしょう。

2.合同会社の設立方法・設立手続き

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さてここからは実際に合同会社の設立手順を公開します。

2−1.手順1・・・必要事項の決定

各必要事項を決めていきます。

2−1−1.商号を決める

商号は人間の氏名と一緒で、その会社そのものを表すものです。どなたも真剣に商号を決めているはずです。ですので、必ず本店を置く市町村を管轄する法務局で類似商号調査を行ってください。

商号は同一の住所で同じ商号は使用できません。賃貸物件なら特に、誰かが勝手にその住所で会社を設立し、登記している可能性はゼロではありません。また、似たような商号がすでにあり、事業内容が類似している時も、後々訴訟の種になったりしますので、その商号は避けた方が無難です。

2−1−2.事業目的を決める

そもそも目的が有って合同会社を設立しようとしているのですが、設立後にブレないように事業目的を明確にしておきます。

2−1−3.本店所在地を決める

事業の根拠地です。最初は自宅で始める人も多いでしょうが、必ず先に述べた類似商号調査はして下さい。

 2−1−4.社員(出資者)を決める

出資者を決めます。出資は金銭とその他の財産です。出資者は1人でも設立できますし、法人でも構いません。その為企業間の共同事業や産学連携などが参入しやすくなっています。

2−1−5.業務に携わる役員(業務執行社員)、会社の代表者(代表社員)を決める

合同会社は、出資者=業務の執行者ですが、出資者が複数の時は定款で業務執行社員を決め、その人に業務の遂行を任せることもできます。

だからと言って業務執行社員だけが利益の配分を受け取るわけではなく、合同会社の利益や権限の配分割合は出資割合に関係なく、定款で自由に決めることが出来ます。

2−1−6.資本金の額を決める

株式会社もそうですが、合同会社の最低資本金は「1円」です。起業を促し経済を活性化するために2005年の法改正で「1円起業」ができるようになりました。

しかしながら資本金の額は、対外的な信用の問題もありますので、開業資金、当面の運転資金分は確保できる金額を設定するのが良いでしょう。あまり資本金が少ないと、無計画に事業を起こしたようにも捉えられてしまいます。

2−1−7.営業年度を決める

合同会社に決算公表の義務は有りませんが、事業年度(決算日)は決めておきます。

会社の業績を明らかにし、経営状況を判断する材料としても、決算は欠かせません。

新規取引を拡大しようとするとき、決算書の提出を求められることが有ります。取引先の信用を得るためにも重要なものです。

2−2.手順2・・・登録に必要なものの準備

印鑑など必要物を準備していきます。

2−2−1.各種印鑑を作る

類似商号調査で類似商号が無ければ、社名が決定しますので、届け出書類等に必要な各種印鑑類を作成します。

【代表者印(会社実印)】・・・設立登記の際に押印する印鑑です。登記後印鑑登録をし、会社に実印となります。サイズは、1辺の長さが10mm以上30mm以内の正方形に収まるものでなくてはいけません。二重丸の内側に「代表者之印」と入れ、外側に社名を入れるのが普通です。

形は角形でもいいとなっていますが、保険会社などは丸い印鑑しか認めない傾向に有りますので、丸い印鑑を作った方が良いようです。欠けたりすり減ったりすると何かと大変ですので、丈夫な材質で作りましょう。

【銀行印】・・・銀行口座を開く時に届け出る印鑑です。小切手や手形の振り出し、預金の引き出しなどで使用します。代表社印(実印)と兼用すると、安全面から好ましくありませんので、銀行口座用の印鑑を別に作っておいた方が良いでしょう。

直径が15mmから20mm位の丸印で、実印と同じように二重丸にし、内側に「銀行之印」外側に社名を入れるのが一般的です。実印よりも使用頻度が高くなりますので、これも丈夫な材質を選びます。

【社印(角印)】・・・会社が提出する見積書や請求書、領収書に押印する、いわば会社の「認印」です。形が四角いので通称「角印」と言っています。使用頻度が非常に高いので、ぜひ用意してください。

1辺が18mm、21mm、24mmなどの角形の印材に「合同会社○○之印」と社名だけを掘ります。

【社判】・・・ゴム印に、住所、会社名、代表社員肩書、代表社員名を入れたものです。銀行では社判も登録して取引の確実性を高めますので、これも用意しておきましょう。

別に代表社印肩書と代表社員名を入れていないものも汎用性が高いので、作っておくと便利です。

2−2−2.出資者・役員就任者の印鑑証明

会社設立の手続きには、発起人および役員(取締役・監査役)予定者の実印と印鑑証明が必要です。これらの予定者は印鑑証明を取り寄せておきましょう。

2−2−3.役員の選任、定款の作成

会社の組織や運営について定めた「定款」を作成します。

定款には絶対的記載事項と、相対的記載事項が有ります。絶対的記載事項は

・会社の名前(商号)

・事業内容(目的)

・本社の所在地

・社員(出資者)の氏名又は名称及び住所

・社員の全員が有限責任社員とする旨

・社員の出資の価額

相対的記載事項には

・会社の存続期間の定め

・業務執行社員の定め

・損益配分の定め

・社員の退社の定め

・会社の解散原因となる事由の定め

・死亡・合併時の継承人が社員となる定め

・解散の場合の会社財産の処分方法

などが有ります。懸念される事項は前もって決めておくと良いでしょう。

2−3手順3・・・登録とその後

最後は資本金の払込など登録業務についてです。

2−3−1.資本金の払い込み

会社設立時の資本金を金融機関に払い込みます。現物出資財産(車など)がある場合は、「財産引渡書」を作成します。

まだ会社として銀行口座は作っていませんので、代表社員就任者の銀行口座に振り込まれた資本金の払い込み証明書を作成し通帳のコピーを添えて、資本金がきちんと振り込まれたことを証明します。

2−3−2.合同会社設立登記

法務局で合同会社の設立登記を行います。申請が受理されるとめでたく新会社の誕生です。

登記の申請には登録免許税が必要です。登録免許税などの費用は別項で解説します。

2−3−3.官公署への届け出

会社を設立したら、税務署などの関係する官公署へ届け出をします。主に、税務署、県税事務所、市町村役場になりますが、従業員を雇った場合などは社会保険関係の届け出も必要になります。

それぞれの届け出には会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必要になりますので、法務局で何通か取っておくと便利です。

3.合同会社設立シミュレーション 費用はいくらになる?

合同会社の設立のメリットの一つに設立費用が安いという点が有ります。株式会社と比較して具体的に表にしました。

株式会社 合同会社
定款認定料 52,000円 0円
登記時印紙代(登録免許税) 150,000円 60,000円
 計 252,000円 60,000円

4.株式会社と合同会社設立するならどっちが良い

さていざ事業を始めようとするとき、株式会社と合同会社のどちらの形態を選ぶといいでしょうか。合同会社の、設立の費用が安くて済む、有限責任である、迅速な意思決定ができるといった利点は、いわゆるスモールオフィスに向いた形態であるといえます。

事業が拡大していった時に株式会社への移行も可能ですので、まずは合同会社から、といった選択も有益ではないでしょうか。

5.まとめ

以上に述べたほかにも合同会社と株式会社の違いは有りますが、合同会社の方が設立のハードルが低く設定されていて、会社の自由度も高いようです。

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