解雇や会社都合退職による会社側の4つのデメリット【3分で納得】

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会社経営上、会社側が解雇や会社都合による退職を望むことはよくあるケースです。しかし、ことは慎重に進めないと解雇や退職そのものの存否、手当・退職金や賠償金などの金銭面、行政罰または刑事罰の適用、得意先の喪失、風評被害などのトラブルへ発展する可能性もあります。

そうならないためにも、最低限の労働法や判例を知る自己研鑽、社内就業規則の整備等が重要となってきます。

1.会社都合と自己都合の違い

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社員が退職するケースには基本的に次のパターンがあります。

  1. 社員が自ら退職を希望する場合。
  2. 会社が社員の退職を希望する場合。
  3. 社員が就業規則に触れるなど懲戒解雇事由に該当する行為を行ったこと。

このうち3.についてはここでは解説を割愛させていただきます。

1.と2.はよくあるパターンです。

1.の場合、社員本人が自ら退職を希望する場合です。ただし本人が希望したにもかかわらず「会社都合による退職とさせていただけないでしょうか?」と相談を持ちかけられるケースがあります。これは「会社都合による退職」の方が失業保険給付の待機期間が3ヶ月待たなくてよく、すぐに給付できるからです。会社側にとって直接金銭的に損するわけではないのですが、あとで思わぬ災難となるリスクもありますので注意が必用です。

2.の場合は、会社の業績が思わしくなく人件費を削減したい場合、特定の社員の能力不足ため退職させたい場合などです。

これらについてはあとあといろいろの問題に波及するケースがありますので、例を挙げながら解説していきましょう。

2. 会社都合退職にすると会社側のデメリットとは

会社都合退職にすると会社側にデメリットとなる主な4つの点をご紹介します。

2−1.助成金の不支給

たとえば「キャリアアップ助成金」を申請している場合、非正規社員などを6ヶ月以上継続雇用することが条件となっていますが、その基準に抵触すれば期待していた助成金がもらえなくなります。

2−2.賠償金を請求されるリスク

たとえ辞めさせたい社員がいたとしても、そもそも雇用は生活安定の基本ですから法的に手厚く保護されています。強引な解雇は本人から弁護士を通じて賠償金を請求されるリスクを孕んでいます。強引に解雇するのではなく「退職勧奨」というアプローチで本人が納得できる空気で進めてみましょう。

2−3.予告から30日以内に解雇した場合の解雇予告手当金の支払い

労働基準法の定めにより、たとえば極端な話、会社側が30日以内に解雇予告をせずに突然解雇した場合は30日分賃金相当の解雇予告手当金を支払わなければなりません。

2−4.得意先の喪失

「解雇される」というのは誰でも嫌なものです。感情的なしこりを残すケースも多いでしょう。

実際にあった話ですが、ある卸会社の営業マンAさんは有能で主要得意先のほとんどから厚い信頼を得ていました。そのAさんは解雇された途端、自分で会社を設立しました。そしてかつて自分が社員営業マンとして訪れていた主要得意先を全部自分の新会社の直接取引先としたのです。売上は億単位です。こういうケースはよくあり、裁判にもつれ込むと大変ややこしく長引くことが多いようです。

社会保険労務士の対策や多くの事例では、

  • まず、社内就業規則に役員の「競業禁止」条項を盛り込むこと。
  • 一般社員に対しては「退職時に会社の情報を漏洩しない」旨の誓約書を徴しておくこと。
  • 会社の情報の定義と範囲を明確にしておくこと。

これらにより社員退職後の営業を防げた判例があるようです。

しかし、難しい問題ですね。得意先を持って行かれた会社はとても悔しい思いをするでしょうが、なにせ得意先が「Aさんがいい・・・」と言っているのだからややこしいところです。

3.まとめ

無理に解雇や会社都合退職にしようとするとあとあと諸々の法的トラブルに発展します。無理に退職させるのではなく社員から「合意」を得ることが肝要です。

退職届や社内就業規則などの関係書類をきちんと整備して、本人や労働基準監督書・裁判所などから追及されても慌てないで毅然として正当性を主張できるよう日頃から客観的な証拠書類の保存を心がけましょう。

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