人を雇ったらすること!初めて従業員を雇った時の3つの手続きと手順

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ひとりや、ご家族としていた事業を手伝ってもらうため、新たに人を雇い入れることは普通にあるでしょう。その際、何をしたらよいかお困りではないでしょうか。学校では教わりませんから当然のことです。

この記事では、人を雇入れたときに、最低限すべきことをご案内します。

 1. 人を雇うこととは

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人を新たに雇うということは、それまで存在しなかった「雇用関係」が新たに発生するということです。雇用関係には「労働基準法」「労働契約法」等、労働関係法令の規制が働きます。また、それにともなって「健康保険法」「厚生年金保険法」「雇用保険法」など、社会保険関係の法令も働きます。

「雇い主と雇い人との間に、『新たな法律関係が生じる』」のだということは、しっかり意識しておきましょう。法律上定められた、手続きをきちんと実行しない雇い主が、雇い人に信用されるはずはありません。「これくらい、いいだろう」「そこまでやらなくてもわかってもらえる」はNGです。

2. 従業員を雇った時の手続きと手順

では早速従業員を雇った時の手順についてみていきましょう。

2−1.労働条件の明示・契約

人を雇ったら、「労働条件通知書」を作って手渡すことが必要です。これは法律事項です。内容としては、最低でも以下のものを記載します。

  • 契約期間/期間の定めがある場合、更新の有無
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 労働時間/休憩/残業の有無
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項

Web上に出ている「モデル労働条件通知書」を使うのが無難です。賞与などは、支払自体が義務ではありませんので、「業績が良かったら支払う」程度の構想の場合、あえて記載する必要はありません。

本来、会社には「就業規則」が先にあり、これに基づいて労働条件が決められます。ですが従業員が10人いない会社に就業規則の作成義務はありません。最初に雇う人については、労働契約の内容は、法律の範囲で自由に決められます。

そうだとしても、将来会社が大きくなったときに矛盾が起きないよう、労働時間や休日・休暇、賃金の締日支払日などは、あらかじめ明確にしておくべきでしょう。なお、労働関係の契約に関しては決して「自由」ではありません。しかも、歴史的経緯から、働く側に大幅に有利になるよう、契約の内容が義務付けられています。

法令を無視して「1日に10時間」であるとか、「1週間に60時間」などの「労働契約」を締結しても無効です。「時間外労働あり」の契約をしていても、無制限に残業をさせられるわけでもありません。もちろん、時間外労働に対する割増賃金の支払いも必要です。

会社には多くの義務が課せられますが、それについてご不満しか持てない方は、人を雇って事業をするにはあまり向いていませんかもしれません。多くの手間とコストを上回る利益をいかにして得るかを考えられないのなら、家族だけで事業をしているほうが安全です。

2−2.労働保険の新規加入手続き

労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」との総称です。「労災保険」、正式には労働者災害補償保険とは、従業員が業務に関係して被災したときに適用されます。業務上のケガ・病気でお医者さんにかかる際から、労災扱いとなります。

雇用保険」は、いわゆる失業保険です。人を雇ったとたん、会社には「労働保険」の加入義務が発生します。労災保険は強制加入、雇用保険は、週20時間以上働くパートタイマーを雇用すれば加入が義務となります。

農林漁業・建設業を除く会社は「一元適用事業」といって、「労災保険料」と「雇用保険料」を併せて納付します。労働保険に加入するには、管轄の「労働基準監督署」に「保険関係成立届」を提出します。

その次に、「雇用保険」の手続をします。雇用保険に関しては、管轄は「公共職業安定所」です。「雇用保険適用事業所設置届」と、最初の従業員に関する「雇用保険被保険者資格取得届」を職安に提出します。いずれも、社判を持っていけばその場で書いて提出できる程度の書類です。

労働保険料は「概算」で支払います。その年(3月まで)の見込み保険料を、銀行等で納付します。見込み額ですので、その年の3月で締めて確定したうえ、また次の年の概算保険料を支払う仕組みになっています。

労働保険は、次でご説明する「社会保険」に比べ、事務メインの会社であれば特に保険料も安いものですが、従業員を雇っても面倒で手続きをしない会社もあるようです。もちろん、そのような会社が従業員に信用してもらえるはずはありません。

事業主がきちんと手続きをしていないと、退職しても、失業給付も受けられなくなってしまいます。労災保険は、事業主だけが負担し、保険料率はサービス業の場合、現在0.3%です。雇用保険は、農林水産・清酒製造・建設業以外は、事業主が0.6%、従業員が0.3%です。いずれも2017年の数字です。

2−3.社会保険の新規加入手続き

「社会保険」とは、健康保険と厚生年金保険です。40歳以上の従業員に対しては「介護保険」も含まれます。前述の「労働保険」を含めて「社会保険」という定義もありますが、狭い意味での「社会保険」はこの三種類です。

健康保険と介護保険については「健康保険協会(協会けんぽ)」が、厚生年金保険については「年金事務所」が管轄となります。通常の手続き窓口は、年金事務所です。「労働保険」と異なり、会社組織の場合、従業員を雇わず事業主のみの状態でも手続きが必要となっています。

社長が仕事に専念しているのに、会社としての健康保険でなく「国民健康保険」に加入しているとしたら、それは誤りということになります。規加入の手続きは、所轄の「年金事務所」に対して同時にします。日本年金機構のWebサイトにある「新規適用届」「被保険者資格取得届」を、年金事務所に郵送します。

法人の場合、「商業登記簿謄本」原本と、「法人番号指定通知書等のコピー」を添付する必要があります。健康保険の保険料率(労使で折半後のもの)は、「協会けんぽ」の都道府県別に異なりますが、全国平均保険料率は、2016年で「5.0%」です。

厚生年金保険の料率は、2016年で「9.091%」です。健康保険と厚生年金保険を併せますと、「14.091%」となります。従業員の保険料は給与から天引きします。事業主も、従業員分を併せて毎月納付します。給与20万円の従業員をひとり雇いますと、毎月概算で56,000円、折半で28,000円の社会保険料を納めなければなりません。

社会保険は、特に厚生年金の保険料が高いです。だからといって、「健康保険」だけ手続きするようなことはできません。発足間もない会社ですと、「従業員も保険料を支払うのがもったいないし、その分給与に還元してあげた方がいい」などと理屈をつけ、手続きをしない会社もあります。だが、それはただのいいわけというものです。

新たな雇用関係に入った人の、医者に掛かる際の健康保険のことや、将来の年金受給のことまで考えてあげる必要があります。高い保険料をちゃんとペイできる経営を考えるべきでしょう。

3. 雇用の際の注意点

昨今は、「ブラック企業」というものが世間を賑わせています。確信的に、従業員を「駒」として使い、経験を積ませるようなことは考えず、安い賃金で使い捨てる会社もあります。

その是非は全く別の問題ですが、そのような会社は、少なくとも従業員の使い方をきちんと考えて着実に実行に移しているわけです。世間からブラック企業とされる会社の多くは、そこまで確信的に経営をしているわけではありません。

いわば中途半端なブラックです。経営者の無知によって時間外手当の未払いを発生させるものであったり、あるいはまったく逆に、高邁な理想を掲げ続けて従業員を働かせた結果、そこからはみ出す従業員に訴えられたりするのが実態です。

新たに従業員を、紹介や公募、どんな経由で雇い入れたにしても、経営者の理想を一方的に受け入れてくれると思うのはトラブルの元です。相手は従業員であっても、まずは独自の感情を持ったひとりの人間です。そのことを忘れてはなりません。

もちろん、甘やかすのが正解ということではありません。ですが少なくとも、従業員が自分の給料以上に稼いでくれるからこそ経営ができるということは、いつも心に留めておきましょう。そういう基本を押さえておけば、法律上定められている経営者の義務を果たすのは、それほど難しいことではないはずです。

4. まとめ

いかがでしたか?人を雇うと、事務処理がいろいろ発生します。専門家に任せてしまってもよいですが、まずは経営者として基本は押さえておきたいものです。

専門家に頼むと、またしても報酬が発生します。その価値が妥当かどうか、見極めるためには、どんな処理があるのか経験しておいて損はないでしょう。

  • 「労働保険」は労働基準監督署
  • 労働保険のうち「雇用保険」は職安
  • 「健康保険」「厚生年金保険」の第一次窓口は年金事務所

これだけ理解しておけば、大丈夫です。

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