テレワーク体制導入で助成金?職場意識改善助成金を分かりやすく解説

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テレワーク画像

「働き方改革」が叫ばれる現在、「テレワーク」という働き方が注目されています。企業側にとっても従業員側にとってもメリットのあるテレワークを、導入することを検討されている経営者の方もたくさんいらっしゃることでしょう。

ここでは、そもそもテレワークとは何なのか、申請方法はどのようにすればいいのか、またメリットやデメリットはどのようなものがあるのかなどについてご説明いたします。

テレワークの内容を確認し、この制度を有効的に活用していただければと思います。

1. 今話題のテレワークとは

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今、何かと話題にあがっている「テレワーク」。テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことをいいます。ちなみに、テレワークとは「tele=離れた所」と「work=働く」とを合わせた造語です。

政府は「働き方改革実行計画(H29.3.28)」において、次のような内容を発表しています。「テレワークは、時間や空間の制約を受けずに働くことが可能になるため、子育てや介護中の人にとっても仕事と両立するための手段となり、多様な人材の能力が発揮されることが可能となる。」

近年のIT技術の発達によって、在宅など社外においても生産性の高い仕事が出来るようになりました。テレワークは、働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分けられます。

勤務形態が広がり、職場環境への意識が改善されることが期待されていますが、企業によってその特性は様々なので、全ての企業において同じように実施できるわけではありません。

しかし、少しでも活用の余地があれば検討してみる価値があるのではないでしょうか。

2. 1企業あたり150万「職場意識改善助成金」とは

「職場意識改善助成金」は、中小企業における職場意識の改善を促進するために、職場意識改善のための計画を作成し、その計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業に支給される助成金です。

この助成金には、「職場環境改善コース」「勤務間インターバル導入コース」「所定労働時間短縮コース」「時間外労働上限設定コース」「テレワークコース」の5つがあります。

その中で、今回ご説明するテレワークコースとは、成果目標をどのくらい達成したかによって、経費の一部が支給されるものです。その額は最大で1人あたり15万円、1企業あたり150万円となっています。

【対象となる経費と助成額】

助成金支給の対象となる取り組み実施にかかった経費の一部が、その成果目標達成の度合いによって支給されます。

対象となる経費 助成額
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費、委託費

※契約形態が、リース契約、ライセンス契約、サービス利用契約等で「評価期間」を超える契約の場合は、「評価期間」に係る経費のみが対象

対象経費の合計額×補助率

(上限額を超える場合は上限額(※))

(※)「1人当たりの上限額」×対象労働者数又は「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額

成果目標の達成状況 達成 未達成
補助率 3/4 1/2
1人あたりの上限額 15万円 10万円
1企業あたりの上限額 150万円 100万円

<参考:厚生労働省「職場意識改善助成金(テレワークコース)」>

 【対象となる事業主】

助成金支給の対象となる事業主は、次の2つのいずれにも該当する事業主です。

  1.  テレワークを新規で導入する事業主や、すでに試行的に導入している事業主
  2. 次のいずれかに該当する事業主であること
業種 A.資本または出資額 B.常時使用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 【対象となる取り組み】

助成金を受給するためには、次のいずれか1つ以上の取り組みを実施する必要があります。

  • テレワーク用通信機器の導入・運用(パソコン・タブレット・スマートフォンは対象外)
  • 保守サポート料、通信費
  • クラウドサービス使用料
  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング(社会保険労務士、中小企業診断士など)
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更

【成果目標の設定】

実際に支給対象となる取り組みを行う際は、次の3つの「成果目標」の達成を目指して実施します。実施期間は、事業実施承認の日から平成30年2月15日までの間で、1~6ヶ月間を評価期間として定めます。

  • 評価期間内に1回以上、対象となる労働者全員に、在宅やサテライトオフィスでのテレワークを実施する。
  • 評価期間内で、対象となる労働者のテレワーク実施日数を、週間平均で1日以上とする。
  • 年次有給休暇の取得促進において、労働者の有給休暇の年間平均取得日数を前年よりも4日以上増加させる。

または、所定外労働の削減において、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年よりも5時間以上削減させる。

有給休暇取得率が低いほど、または長時間労働が慢性化しているほど、成果目標は達成しやすいともいえます。現在の労務状態を的確に把握し、目標を達成できるよう取り組むことが大切です。

2−1. 職場意識改善助成金の申請方法

職場意識改善助成金の申請の流れをご説明します。

【平成29年12月1日までに(ただし、早期に受付終了の場合あり)】

テレワーク相談センターに「職場意識改善助成金事業実施承認申請書」と事業計画書などの必要書類を提出します。

【事業実施承認通知書が送付されてきたら】

厚生労働省から事業実施承認通知書が送付されたら、事業計画に基づいて、成果目標に向けた取り組みを実施します。

【平成30年2月末日までに】

事業実施期間が終了したら、上記期日までにテレワーク相談センターに支給申請をします。

2−2. 職場意識改善助成金の申請の注意点

職場意識改善助成金の申請について、1つ注意点があります。この助成金は、新規にテレワークを導入する企業だけでなく、次のような企業にも支給が認められています。

  • 現在、試行的にテレワークを導入中である
  • すでにテレワークを導入していて、これからも継続して取り組んでいく

このように、新規企業だけでなくすでに導入済みの企業まで、幅広い支給範囲が認められています。

また、制度改正により平成29年度からは、すでに1度この助成金を受給したことがあっても、その受給時からテレワークの対象労働者数を2倍に増加させて実施する場合に、再び支給申請ができるようになりました。

つまり、1企業につき2回まで受給することが可能になりました。テレワークの導入時と適用範囲拡大時の2回受給できるようになったことで、増々取り入れる価値のある助成金制度になったといえます。

3.テレワーク導入で社会はどう変わる?

テレワークの導入を進めていくことは、ただ単に多様な働き方を認めたり生産性の向上を目指したりというだけに留まりません。ましてや、助成金を得るために導入するわけでもありません。

日本では将来的に、南海トラフ地震や首都直下型の地震が発生する可能性があるとされています。大地震だけでなく、台風や大雪などの自然災害による大きな交通の乱れも考えられます。

こういった緊急事態が起こり、仮に本社が被災し事業が滞ってしまった場合でも、在宅勤務やサテライトオフィスが会社としての機能の一部を継続できれば、事業を継続していくことができます。

こういった緊急事態対策としても、テレワークを活用する価値があります。

3−1.テレワーク導入の企業にもたらすメリットデメリット

テレワークを導入することによる、企業にとってのメリットとデメリットについてご紹介します。

【メリット】

  • 大地震などの非常災害時や感染症流行(パンデミック)が発生した場合でも、事業の継続性を確保することができる。
  • オフィスの省力化によって消費電力を減らすことができる。
  • どこでも仕事ができるという環境を作り出すことで顧客への迅速な対応が可能となるため、生産性を向上させることができる。
  • 従業員に、家族と過ごす時間や自己啓発などに使える時間が増えるという環境を整えることで、従業員の満足度と企業への帰属意識を高めることができる上に、企業イメージにも良い影響を与えることができる。
  • 育児や介護中の従業員にも働きやすい環境を整えることで、雇用の確保・維持につながり、優秀な社員を確保できる。
  • 退職した高齢者、通勤困難者、地方在住者などの雇用も可能となるため、新たな労働力を確保できる。

【デメリット】

興味深いメリットがたくさんある一方で、デメリットを感じている企業も少なくないようです。

  • テレワークに適した業務が無い
  • オフィス外で働くことになるため、労働時間の管理が曖昧になってしまう
  • 記憶媒体や端末の紛失またはウイルス感染による情報漏洩のリスクが高まる
  • 社内のコミュニケーションに支障が生じ、一体感を高めることが難しくなる

このようなデメリットが挙げられますが、すでにテレワークを取り入れている企業の成功例や政府の「働き方改革」の推進制度などを参考にしながら、解決策を図っていくことができます。

テレワーク導入の際には、デメリットを1つずつ解決していくためにも、情報収集は欠かせません。

4.  まとめ

時間や空間にとらわれずに働く「テレワーク」という労働形態は、働き方改革の中でも特に注目されています。実際には、技術職・営業職・事務職・管理職などの職種で導入されているようです。

テレワークを導入すると、非常時対策や有能な人材の確保など数々のメリットがある上に、助成金も受給できます。しかし、情報漏洩のリスクや勤怠管理のルール作成など、気になる点もあると思います。

そこで、最初から完璧な導入を図るのではなく、対象となる従業員が出てきたら、適宜導入していくという方法もあります。当面は試験的に取り組み、自社に合ったテレワーク制度を確立させていってみてはいかがでしょうか。

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