いまいち理解出来ない!労働基準法と労働契約法の違いとは!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
労基法,契約法画像

「労働基準法」と「労働契約法」。どちらも従業員を雇い入れる場合に大切な法律ですが、どのような違いがあるのかご存知ですか?

それぞれの内容や関係性、違いなどをしっかりと理解しておくことで、労使間トラブルを未然に防止することに役立ちます。特に、従業員の雇い入れ時や更新時にはトラブルが起きることが多くみられますので、その際に気を付けるべき点などについても解説していきます。

 1.労働基準法と労働契約法の違いとは!?

労働基準法と労働契約法はどちらも大切な法律ですが、具体的にどこがどのように違うのかはっきりと分からない方もいらっしゃることでしょう。そこでここでは、労働基準法と労働契約法の成立の背景やそれぞれの関係性、違う点などからそれぞれどのような内容のものなのかを確認していきましょう。

 1−1.労基法と契約法の成立の背景

労働基準法と労働契約法の違いをそれぞれが成立した背景からみていきましょう。

 【労働基準法成立の背景】

戦前の日本では、「工場法」が労働法として定められていましたが、これは労働者の保護のためのものではなく、国の発展のために良質な労働者を確保するためのものでした。そのため、制定後も労働環境は劣悪なままでした。

そして戦後、GHQが戦後の改革の1つとして、労働環境の改善にも取り組み、労働組合法が制定され、労働者の地位が高められ使用者によって不当な賃金引下げなどが行われることを防止しました。 さらに、昭和22年に長時間労働を防止するために最低労働水準を定めた労働基準法が制定され、労働条件の最低基準を刑罰と監督とをもって確保されるようになりました。

 【労働契約法成立の背景】

平成20年3月に、就業形態の多様化や個別労働関係紛争の増加などに対応するために定められたのが労働契約法です。近年、日本では就業形態が多様化し労働条件が労働者ごとに決定・変更されるケースが出てきたりと、労働紛争が増加の一途をたどっています。

しかし、このような労働紛争を解決するために必要な労働契約について民事的なルールをまとめた法律がこれまでありませんでした。

そこで、使用者と労働者との間で話し合いをしてお互いに十分に理解した上で協力し、納得して労働できるために細かいルールを作る必要があるということから労働契約法が制定されました。

 1−2.労基法と契約法の関係

労働基準法と労働契約法は下図の様な関係になっています。

労基法画像

労働基準法は罰則が規定されていて、国が使用者を取り締まるための法律となっているのに対し、労働契約法は労働者と使用者の関係を民事的に規律するための法律だということが分かります。

 1−3.労働基準法と労働契約法の違い

では次に労働基準法と労働契約法には具体的にどのような違いがあるのかについて解説していきます。労働基準法は、労働条件の最低基準が規定されていますが、違反した場合には刑事罰が科せられます。

一方、労働契約法は、適法か違法化を取り締まる法律ではなく、正当か不当かを争う際の判断基準を規定しているものです。また、労働基準法と労働契約法とでは、「労働者」や「使用者」の概念にも違いがあります。

例えば、請負や委任で労務を提供する人は労働基準法では労働者として含みませんが、労働契約法では労働者に含まれます。使用者については、労働契約法では労働者と労働契約を締結する人を使用者としていますが、労働基準法では人事部長など一定の管理監督者も使用者に含むとされています。

 2. 法律を知っておくだけで違う!労働者とのトラブル対処法

ここまで、労働基準法と労働契約法の成立の背景や関係性、異なる点について解説してきましたが、会社を運営していく上では法律の内容を理解し、実際に活用していくことが重要になってきます。 特に、従業員の雇い入れ時や更新時にはトラブルが発生することが少なくありませんので、しっかりとした対策が求められます。

 2−1.雇用契約時の対処法

従業員を雇い入れる際には労働条件を明示する必要があります。労働契約自体は事業主と従業員との合意で(口頭でも)成立しますが、労働条件について労働基準法で定められたものは必ず文書で明示する必要があり、一般的には労働条件通知書または労働契約書として作成されます。

なお、実際の労働条件が明示されたものと異なる場合、従業員は即座に労働契約を解除することができるので大変重要なものといえます。

労働基準法で必ず明示しなければならないとされているものは次のものです。

  • 労働契約の期間
  • 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
  • 就業の場所・従事すべき業務
  • 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定、計算・支払方法、賃金の締切や支払いの時期
  • 退職・解雇に関する事項
  • 昇給に関する事項

また、定めた場合には明示しなければならないものもあります。

  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払方法および支払い時期
  • 臨時に支払われる賃金、賞与等および最低賃金額に関する事項
  • 労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
  • 安全・衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償、業務外の疾病扶助
  • 表彰、制裁
  • 給食

なお、⑦から⑮の事項は書面で明示しなくてもかまいません。事業主と従業員が対等な立場で労働契約を結び、双方で契約内容を理解し合えるように努力することが求められます。

 2−2.契約期間の更新に対する対処法

パート、アルバイト、契約社員のように1年契約や6ヶ月契約など、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の場合は、使用者は原則的に期間終了時点で労働契約を更新せず雇止めをすることができます。しかし、短期間に何度も契約が更新されている場合など、雇止めが認められずに引き続き同条件の有期労働契約が成立するケースがあります。

雇用契約の更新時にトラブルに発展するケースも多くみられるため、更新についての対応も慎重に行う必要があります。

 【雇用契約書の記載事項】

使用者は更新時におけるトラブルを回避するために、雇用契約締結時に次の2点について労働者に明示しなければなりません。

  • 契約更新の有無
    (契約が自動的に更新されるのか、契約する場合があるのか、契約更新はしないのかなど)
  • 契約更新に関する判断基準
    (労働者の勤務実績や能力、従事している業務の達成状況、会社の経営状況など)

これら2つの事項は、賃金・休日、始業時間・終業時間などの事項と一緒に、書面での明示が義務付けられています。

 【労働契約法改正による「5年ルール」】

平成25年4月に労働契約法が改正され、平成25年4月1日以降に開始された有期雇用契約が更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みがあれば無期雇用契約に転換される制度(5年ルール)が定められました。 平成30年から該当する労働者が発生することになりますが、会社として対応策を講じておく必要があります。

  • 有期労働の運用についての取り決め
    (労働条件は正社員と区別するか、業務内容は正社員の補佐的なものにするかなど)
  • 無期転換についての契約の準備
    (無期転換への申し込みは口頭でも有効だが、トラブル回避のためには書面で行う)

これらの整備はある程度の時間がかかるため、あらかじめ準備しておくことが大切です。

3.まとめ

労働基準法と労働契約法の違いは、簡単にいうと次のようになります。労働基準法:従業員を雇う場合には必ず守らなければならない基準が定められており、違反すると罰則がある。

労働契約法:使用者と従業員が対等の立場で労働条件について納得した上で契約するためのもので罰則はなし。

近年の多様な働き方を受け、これまでとは違ったトラブルが発生するケースも考えられます。使用者と従業員がお互いに納得のいくまで話し合い、双方が安心して契約できるよう努めることが大切です。

SNSでもご購読できます。

© Copyright 2017 起業サポートオフィス. All rights reserved.