知らないじゃ済まされない!労災が未加入だった時の会社の責任や罰則とは

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会社に労働者を雇い入れる際には、労災保険に加入しなければならないということはご存知のことと思います。労災保険には「強制適用事業所」というものがあり、労働者を1人でも雇っている会社は強制的に労災保険に加入する義務があります。

しかし、労災保険にうっかり加入し忘れてしまった、または分かってはいてもついつい先延ばしにしてしまっているなど、未加入のままという会社は少なくありません。労災事故が発生した時に慌てないように、労災手続き方法を確認し、早めに加入することが大切です。

もし未加入のまま労災事故が起きてしまったらどのようなペナルティがあるのかについてもしっかりと理解しておきましょう。

 1. 労災保険は強制加入?労災の手続き方法

会社に労働者を雇い入れる場合は、労災保険に加入する必要があることは分かっていても、どのような会社が強制適用事業所の対象になっているのかはっきりと分からないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、労災保険の強制適用事業所とはどのような事業所なのか、また労災の加入手続き方法などについて確認しておきましょう。

 1−1. 強制適用事業所とは

農林水産業の一部を除き、1人以上の労働者を使用している会社は、すべて強制適用事業所となり、加入や脱退を自由に決めることはできません。そして、適用事業所に使用されている労働者は労災保険の適用対象者となります。

対象になるかどうかは雇用形態に関係なく、正社員はもちろんのことパートやアルバイト、臨時雇い、日雇い、外国人労働者なども対象になります。なお、派遣労働者は、派遣元の労災保険の対象となります。

 1−2. 労災の手続き手順

労災の加入手続き手順について解説していきます。加入書類の記入や添付資料を準備する必要がありますので、順に進めていきましょう。

【提出資料】

  • 労働関係設立届
  • 労働保険概算保険料申告書
  • 履歴事項全部証明書(写)1通

【提出先】

管轄の労働基準監督署

【提出期限】

保険関係の設立した日の翌日から起算して10日以内
なお、労働保険概算保険料申告書の提出期限は、保険関係の成立した日の翌日から起算して50日以内とされていますが、労働関係設立所と同時に提出するケースが多いです。

 1−3.会社が未加入の場合、従業員はどうなるのか

会社が1人でも労働者を雇う場合は労災への加入が義務付けられていますが、会社が認識不足や過失などから加入手続きをしていないということも考えられます。しかし、会社が労災に未加入の状態で労災事故が発生してしまった場合、労働者の補償はなされるのでしょうか。 会社が労災に未加入だからといって、労働者に全く補償がなされないとなると、労働者にとって大きな不利益となります。

そのような状況を避けるために、労災未加入の会社で労災事故が発生した場合は労働基準監督署へ労災保険の給付請求をすることができ、無事労災と認定された場合は通常のケースと同様に補償を受けることができるという救済措置があります。労働者は無事に補償を受けることができますが、経営者にはペナルティが科されることになりますので、次の項目で詳しく解説していきます。

 2. 労災未加入が判明!会社が被るペナルティや費用徴収とは

労災保険に未加入であることが明るみに出てしまうと、会社はどのようなペナルティを負うことになるのか心配です。労災は労働者の補償のために大切なものですが、実は会社を守るためにも大切なものです。

労災に未加入であることが判明するのは、ケガをした労働者が労働基準監督署へ通報するというケースが多く見られます。労災に未加入の場合、休業中の給与が支給されなかったり、治療費を実費で負担せざるをえなかったり、後遺症が残った場合などその後の補償問題にも発展することがあるためです。

なお、労災は労働中の災害だけが対象になると思われている方もいらっしゃいますが、通勤中の災害(通勤災害)も労災の対象となります。「危険な業務ではないから労災は不要」と判断し未加入のままにしている会社でも、通勤災害は意外と起きるものです。通勤災害も労働災害と同様の賠償金額になりますので、慎重に対応するべきといえます。

2−1.労災の未加入が発覚すると保険料が追加徴収される

労災の未加入が発覚すると、労災保険料を遡って追加徴収されることになります。追加徴収される保険料は、通常過去2年分となります。

2−2. 重大な過失があった場合

行政指導は受けていなかったが、適用事業所でありながらも1年以上加入手続きをせずに労災未加入であった中事故が発生した場合、労働者に給付される保険給付の40%(全額)が事業主から徴収されます。

2−3.労災に故意に加入していなかった場合

すでに行政からの指導を受けていたにも関わらず、労災加入手続きをしない中で事故が発生した場合は、保険給付の100%が徴収される可能性があります。

 3.労働基準法による処分も!?会社が負う責任

労災保険の未加入は労働基準法違反に該当するため、未加入が判明した事業主には、一定年数ハローワークでの求人掲載ができなくなるなどのペナルティが科されるケースがあります。 さらに、「労災隠し」のような悪質な場合には、厚生労働省による「社名の発表」がなされたり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることもあります。

会社にとっては保険料の追加徴収や費用徴収だけでも痛手となる上に、今後の経営に大きな影響を与えかねない「社名の発表」はかなり大きなダメージとなってしまうでしょう。

 4.まとめ

会社が労災に未加入であっても、労働者は労災申請をすることができ、補償を受けることができます。しかし、事業主へのペナルティは重く、2年間遡っての保険料の追加徴収、労災事故補償の保険給付の徴収、社名の公表、場合によっては懲役や罰金が科されることもあります。

労災は労働者のためだけでなく、自社を守るためにも大切なものですので、強制適用事業所に該当する場合は速やかに加入手続きをとることが大切です。

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