同じ退職でも、会社都合と自己都合では失業保険の取り扱いが変わります。また転職の際に採用担当者の心証が変わります。
さらには「本当は会社都合退職なのに、知らない間に自己都合退職扱いになって不利益を被った」といったトラブルがないように、会社都合退職と自己都合退職のメリット・デメリットや条件などを正しく理解しておくことは大事と言えます。
目次
1. 自主都合と会社都合退職とは
会社都合退職とは会社側が経営不振やリストラ、倒産などを理由に一方的に労働契約を解除し、労働者に退職を余儀なくさせることです。つまり会社からの一方的な労働契約の解約による退職です。労働者が早期退職制度に応募して退職した場合も、会社都合退職となります。
一方、自己都合退職とは労働者側が転職や結婚、妊娠、出産、引っ越し、家庭の都合などを理由に、自分の意思や都合で退職を申し出ることです。
2.自主都合と会社都合の違い
2−1. 失業給付の開始日
自己都合退職の場合、ハローワークに離職票を提出後、待機期間7日+3カ月を経るまで失業給付金を受け取ることができません。つまり失業手当を受け取るには、実質4ヶ月も先のことになってしまいます。
一方、会社都合退職の場合には、待機期間7日間+約1カ月後に第1回目の支給を受け取ることができます。
2−2.給付日数
雇用保険の被保険者期間や年齢によって異なりますが、自己都合退職の給付日数90~150日に比べて、会社都合退職の給付日数は90~330日と長く設定されています。
2−3最大支給額
退職理由が会社都合だった場合は「特定受給資格者」になり、最大約260万円支給されますが、自己都合の場合は最大で約118万円となっています
2−4. 給付制限
自己都合退職の場合、待機期間終了の翌日から3ヶ月間は給付制限期間があります。この間は失業保険の支払いが一切されません。
ただ給付制限期間中であれば、どれだけアルバイトをしてもその後の失業保険の受給には影響されませんので、日雇いバイトや、3ヶ月の期間内での短期バイトをして生活費を稼ぐことは可能です。
2−5. 国民健康保険税
平成22年4月より、倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や雇い止めなどによる離職(特定理由離職者)をされた場合は、市役所窓口にて手続きすることで、一定の期間、国民健康保険税(平成22年度課税分から)が軽減されます。
3.会社都合退職にすると企業側のデメリットは?
次の3つがデメリットとして考えられます。
- 退職後に理由をつけられ、損害賠償請求をされる恐れがある。
勤務実績にそれほど問題ない人を会社都合にしてしまうと、後で文句を言われたときに敗訴します。 勤務態度が悪い、仕事のスキルが低い等の理由ではまず解雇は認められません。もちろん本人が了承すれば大きな問題にはなりませんが、裁判にされた場合、労働者側が勝訴するケースが多いのが実情です。 - 助成金が受けられなくなる可能性がある。
- 対外的な信頼度などが低下する可能性がある。
離職率が高い会社はそこに勤めようとする人以外にも、あまり良くは見えなくなるでしょう。
4.まとめ
会社都合退職と自己都合退職とでは失業保険の受給額や受給開始日、受給期間に差があることを理解していただけたと思います。知っておいて損はない退職に関する基礎知識。会社は丁寧に説明してはくれません。
これを機に、正しく理解おき、万が一退職となった場合には損をしないよう備えておきましょう。