サラリーマン生活に別れを告げ、いざ独立!自分の描く事業を自由に展開できることに、ワクワクしていることでしょう。事業の展開に一応の目安を付けての独立でも、いざ現実と直面した時、開業の手続きはどうしたらいいのだろう?資金は順調に回っていくだろうか?などと、色々心配な事が出てきます。
そんな起業家を応援する体制が、国や地方公共団体にも用意されています。今回は知っていると得をする開業手順と、助成金・補助金についてです。
目次
1. 個人事業の開業手順
1−1個人事業 開業届けの提出
個人が会社を設立せずに事業を始める場合、「個人事業の開業・廃業届出書」を提出します。(開業・廃業とありますように事業をやめた時にも提出します。)用紙は国税庁のホームページからダウンロードできます。必要カ所に入力して印刷できるので、大変便利です。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf
開業や廃業の事実があった日から1カ月以内に、「個人事業の開業・廃業届出書」を所轄の税務署に提出します。所轄の税務署は、これも国税庁のホームページに、国税局・税務署を調べるというコーナーがあり、簡単に調べられます。
1-2青色申告承認申請書も忘れずに
個人事業主の納税の方法に、白色申告と青色申告があります。白色申告はサラリーマンの確定申告でも使う一般的な方法です。
事業が軌道に乗ったら、節税効果の高い青色申告を選びましょう。「所得税の青色申告承認申請書」を、青色申告を始めようとする年の3月15日までに所轄の税務署に提出します。事業をスタートした時から青色申告を選ぶ場合は、事業をスタートした時から2カ月以内に提出して下さい。帳簿を整備するだけで、最高65万円の青色申告特別控除を受けることができます。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf
2.活用出来る助成金・補助金がないかチェック
2−1.活用出来る助成金・補助金
事業資金の準備はどのように考えていますか?ネット販売やコンサルタント業など、自宅を事務所として、少ない資金でスタートできる業種もありますが、事業が安定するまでの運転資金は必要です。金融機関からの融資を考える前に、補助金や助成金が無いか、探してみて下さい。補助金や助成金は返済の必要のない資金ですので、活用しない手はありません。主なものを上げておきます。
- 創業・第二創業促進補助金
参照:https://sogyo-hojo-28.jp/ - 都道府県助成金
参照(例・東京都):http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/pdf/28_00joseijigyou_gaiyou1_1020.pdf
お住いの市区町村でも、地域活性化を目的とした補助金・助成金を用意しているところが有ります。応募条件や申し込み方法は各都道府県の運営管理者によって変わってきます。最新情報を各都道府県のホームページなどで確認してください。
2−2.申請方法
助成金は「雇用調整助成金」に代表されるように、雇用の創出や維持に重点を置いたものが多いです。申請期間に縛りは有りますが、条件を満たせば受給できます。ハローワークを経由して求人・雇用すれば、条件に当てはまる人に関しては、ハローワークから事前に書類が送ってきますので、見逃さないようにしておきます。
補助金はほとんど公募の形になります。事前申請、事業計画の提出など書類の作成が少々面倒ですが、やはりきちんとした計画の上に成り立ったビジネスでなければ、審査は通りません。中小企業基盤整備機構のホームページでは、「知っておこうよ補助金・助成金」と言う動画も見ることが出来ます。補助金申請の書類を作ることで、自分の事業を系統立てて見直せる良さもあります。
3.来る確定申告に備える
さて年が明けたら、確定申告の準備に入りましょう。税金の納め過ぎを防ぐために、領収書や納品書に不足はないか等確認し、日付順に整理しておきます。経費に入れて良いものとダメなものも、確認しておきましょう。損益を計算して、節税できるものはないか等も検討しておきます。
特に青色申告を選択している場合は、複式簿記による帳簿を要求されます。でも、今はネット上に会計ソフトが沢山あります。経理が苦手と思っている人でも、日々の簡単な入力で帳簿が出来上がります。毎日の入力は面倒なようでも、リアルタイムで経営状態を見ることができる利点もあります。ここはひとつ頑張りましょう。
3−1.確定申告のやり方
確定申告は、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用することをお勧めします。
https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl
順番に入力していけば、確定申告書が出来上がります。途中まで作ったデータを保存しておくこともできますので、ヒマヒマに確定申告の作業を行えます。社会保険料や生命保険料などの、各種所得控除や税額控除の詳しい説明は、確定申告の手引きを参照してください。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/01.pdf
確定申告書が出来上がりましたら、プリントアウトして税務署に持参・郵送する方法と、e-TAXで電子申請をする方法が有ります。(e-TAXは事前申請が必要です。)なお、平成28年からマイナンバー制度が始まりました。平成28年分の確定申告から、マイナンバーの記載が義務付けられています。
4.疑問・質問あれこれ
4−1.税理士さんは雇った方が良い?
余程経理や税金に精通している人以外は、税理士さんに頼った方が良いと思います。税理士は税金のプロですから。・・・とはいえ、経費も掛かりますので、税理士さんとの相性は大切です。税理士さんによっては、顧客である事業主よりも税務署の方を向いている人もいます。納めるべき税金は納めなくてはいけませんが、納め過ぎるのは、税理士さんを雇っている意味がないですから。(やたら威張る税理士さんもちょっとイヤですね。)
毎月の顧問料を押さえたい人は、ネット上で完結する税理士事務所も有りますので、毎月の顧問料など比較してみるといいでしょう。
4−2.節税などの対策は?
節税対策は、こまめに領収書を集めることだけではありません。白色申告と青色申告でも納める税金が変わってきます。パソコンなど事業に必要なものを購入した時に、計上方法で全額経費とすることもできます。
さらに原則課税を選ぶか簡易課税を選ぶかでも、納める税金が変わってきます。税理士さんにしても、預かった書類を右から左に処理だけするタイプの人もいます。やはり情報は自分で集めて、プロである税理士さんに相談するのが一番です。相談のひと手間で節税できることも良く有るようです。
5.まとめ
起業してから間もない期間、売上も税理士さんを雇うほど上がっていない。こんな時は税務署を利用しましょう。税務署は税務調査をするだけの所ではありません。問合せには親切に答えてくれますし、払い過ぎた税金が有るようなときに、還付方法を教えてくれたりもします。
起業間もない事業者に向けた、税務署主催の記帳講習会なども開いています。年末調整や確定申告の時期には説明会も頻繁に行います。敷居が高いと敬遠せずに、どしどし利用しましょう。経営者が税金を勉強するのは、大事なことです。