人事必見!外国人を雇う際の5つの注意点と手続き方法

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近年、外国人の雇い入れを検討する経営者が増加していますが、

「外国人を雇うのは初めてなので不安」
「雇い入れの際の手続き方法は日本人と同じでいいのか」
「気を付けるべき注意点を知りたい」

といった悩みを抱えているケースが少なくありません。

雇い入れた後は基本的に日本人と同様になりますが、雇い入れ前の確認事項や入社に伴う手続きなど、慎重に行わなくてはならないことがあります。ここでは、外国人を雇い入れる際の手続き方法や主な注意点について詳しく解説していきます。

 1. 初めての外国人の雇用!その手順とは

初めて外国人を雇用する会社では、どのような手続きをどのような手順で行えばいいのか不安になってしまうことでしょう。しかし、基本的な流れを押さえておけば慌てずに手続きを進めていくことができます。

そこで、外国人を雇用する際の手続きの手順を、雇用する前、契約時、入社後の3つに分けて必要な手続きの流れを解説していきます。

1−1. 外国人を雇用する前に必要な確認事項

外国人を雇用する前には、「在留資格」や「就労可能な資格の種類」など、確認すべき重要なことがあります。

 【外国人の在留資格の確認】

まず、雇用する予定の外国人の在留資格の確認を行います。在留資格がない外国人を雇用した場合は「不法就労」となり、働いた外国人本人だけでなく、会社にも罰則が課せられますので必ず確認しましょう。

 <在留資格の確認書類>

在留資格は次の書類で確認することができます。

  • 在留カード
  • 外国人登録証明書
  • パスポート
  • 資格外活動許可書

 【就労可能な資格の種類の確認】

在留資格が確認できれば一安心と思いがちですが、実は在留資格があればどの仕事でも就けるというわけではありませんので注意が必要です。資格の種類ごとに在留期間や業務内容が決められている場合があります。

例えば、就労のために日本に滞在していて経理の仕事に就くことが決まった場合の在留資格は「人文知識・国際業務」という種類となり、この業種以外の仕事に就くことができなくなります。仮に自社に入社後に就かせる予定の業種が在留資格と異なる場合は、採用後の業種に該当する在留資格に変更する手続きが必要になります。

1−2. 雇用する外国人との雇用契約・就労ビザ申請

雇用予定の外国人の在留資格などの確認が済んだら、雇用契約を結びます。

【書面による雇用契約書の締結】

雇用予定の外国人と、入社後の賃金などの労働条件について話し合い、書面で雇用契約を結びます。雇用契約は必ずしも書面で締結する決まりはありませんが、海外では日本よりも書面による契約書が重要視されていることが多いことがため、書面による契約をおすすめします。

また、国によって法律や習慣が異なるため、就労についての認識にズレが生じてしまう可能性も否定できません。後のトラブルを未然に防ぐためにも、書面での雇用契約を結びましょう。

【就労ビザ申請手続き】

就労ビザの申請手続きは、「海外の外国人を日本に呼ぶ」「日本国内の他の会社で働いている外国人を雇用する」「日本に留学している留学生を雇用する」という3つのケースによって異なります。

  • ケース1:海外の外国人を日本に呼ぶ
    海外の外国人を採用することに決めたら、まずは会社が「在留資格認定証明書」を日本の入国管理局に申請します。この申請の審査には1ヶ月~3ヶ月かかることがあるため、内定したら速やかに申請するようにしましょう。
    「在留資格認定証明書」が発行になったら外国にいる採用予定者に送付します。採用予定者は、自身で現地の日本大使館に出向き、就労ビザの申請手続きをします。
  • ケース2:日本国内の他の会社で働いている外国人を雇用する
    すでに日本国内の他の会社で働いている外国人を中途採用する場合は、入国管理局に「就労資格証明書交付申請」を行います。この就労資格証明書交付申請を行うことによって、自社で採用予定の職種が雇用予定の外国人の就労ビザで就労可能かどうかを入国管理局に判断してもらうことができます。
    現在の就労ビザで就労可能であれば特に手続きはありませんが、異なる場合は変更手続きが必要になります。
  • ケース3:日本に留学している留学生を雇用する
    日本に留学している外国人は、留学ビザによって日本に滞在していますので、雇用する場合は「在留資格変更許可申請」をする必要があります。なお、新卒で採用する場合は、入社月に合わせて間に合うように早めに申請しておくと安心です。

1−3. 外国人雇用開始後の管理・手続き

外国人の雇用が開始されてからも、ハローワークへの届出、就業規則の交付、社会保険に関する手続きなど、必要な手続きがあります。

【ハローワークへの届出】

外国人を雇用した場合も、ハローワークへの届出が必要です。外国人が雇用保険に加入する場合は「雇用保険被保険者資格取得届」を、加入しない場合は「外国人雇用状況届出書」を作成し届け出ます。

【就業規則の交付】

海外は日本よりも契約を重要視する傾向が多いこともありますので、就業規則を交付した際に内容を確認してもらい、サインをしてもらうとより安心です。また、日本語だと理解しにくい場合は英文の就業規則を作成することも検討する必要があります。

【社会保険に関する手続き】

健康保険・厚生年金については、外国人も日本人社員と同様に保険料を納入します。
しかし、外国人の中には「厚生年金は掛け捨てになってしまう」と誤解している方が多いため、厚生年金には脱退一時金があること、病気や事故で障害が残った場合は障害厚生年金がもらえること、万が一亡くなったときには遺族厚生年金が出ることなどを説明し誤解を解いておきましょう。

2. 外国人を雇う際の5つの注意点

外国人を雇う際には、日本人を雇用する場合とは異なる注意すべき事があります。では、主な5つの注意点について解説していきます。

2−1. 労働条件をしっかりと理解してもらう

日本で働く(または働こう)としている外国人が、すべて日本語が堪能なわけではありません。また、流ちょうに日本語が話せる外国人も、文字にも深い理解があるとは限りません。そのため、入社時の労働条件の話し合いを、あまりよく理解せずに入社してしまい後にトラブルになるケースが少なくありません。

トラブルを避けるためにも、充分に分かりやすく説明するのはもちろんのこと、必要に応じて母国語の労働条件通知書を用意することを検討しましょう。

2−2.日本独特の制度を理解してもらう

母国ではごく普通の制度であっても日本にはない制度がありますし、他国にはあまり類を見ないけれど日本では当たり前になっている特有の制度があります。日本特有の習慣を「当然知っているだろう」と判断し説明を省いたりすると、外国人との認識のズレが生じてしまいトラブルに発展する可能性があります。

特に、長期雇用慣行や年功序列などの日本特有の習慣は理解しづらいところですので注意が必要です。

2−3.社会保険への加入

外国人雇用開始後の手続きのところでも触れましたが、社会保険への加入条件にあてはまる場合は、外国人でも加入し保険料を納めなければなりません。しかし、日本での就労を希望している外国人すべてが長期雇用を希望しているわけではありませんし、「社会保険に加入したくない」と思う外国人は少なくありません。

このような状況でも、会社としては条件にあてはまれば外国人を社会保険に加入させる義務がありますので、できるだけ分かりやすく説明し理解してもらえるよう努めることが求められます。

2−4.違法な仲介業者から受け入れないようにする

外国人を雇い入れる際には、仲介業者に外国人をあっせんしてもらう方法があります。しかし、仲介業者の中には違法な業者もあり、様々なトラブルの原因となっていますので仲介業者選びは慎重に行う必要があります。

人材あっせん会社などを利用する際は、厚生労働大臣の許可や届出内容を確認し、不明な場合はハローワークに許可・届出状況を確認するようにしましょう。特に仲介業者からの勧誘があった場合はしっかりと確認することが大切です。

2−5. 外国人の日本語能力の向上に努める

外国人労働者は、日本での生活習慣にまだ慣れていないことがあるため、職場内はもちろんのこと地域においても思わぬ誤解からトラブルを引き起こすことがあります。日本語に慣れていないという言葉の問題と、新しい仕事に慣れていないというストレスは計り知れません。

そこで、職場内や地域においての人間関係をスムーズにするために、雇い入れ時から必要に応じて日本語教育を行ったり日本の生活習慣について説明するなどして、会社側から積極的に援助することが大切です。

3.外国人の雇用!モデルケースで流れを確認!

ではここからは、実際に外国人を雇い入れる場合について、モデルケースを用いて解説していきます。近年、海外からの観光客が増加していることを受け、飲食店で外国語を話せるスタッフが欲しいという店舗が増えています。

今回は、飲食店で外国人を雇い入れる場合について見ていきましょう。

【飲食店で外国人を雇用する際の流れ】

  • 求人に応募してきた、または仲介業者から紹介された外国人の中で採用したい人材を選びます。
  • 採用したい外国人の「在留資格の確認」「就労可能な資格の種類の確認」をします。
  • 書面による雇用契約書を結びます。
  • 就労ビザ申請手続きをします。
    外国人を調理人として雇いたい場合は、飲食店での調理実務経験が10年以上あれば「技能」ビザを取得した上で就労することができます。経理部や広報部で雇いたい場合は、「人文知識・国際業務」ビザが必要になります。
    また、来店する外国人のために、メニューの解説などで日常的に通訳が必要とされる店舗に就労する場合も「人文知識・国際業務」ビザがあれば就労できます。留学生を雇いたい場合は、留学ビザでは就労できませんので、「資格外活動許可」を取得すれば1週間のうち28時間以内であれば就労が可能です。
  • 入社後の必要な手続きを進めます。
    ハローワークへ「雇用保険被保険者資格取得届」または「外国人雇用状況届出書」を作成し届け出ます。条件を満たす場合、社会保険への加入手続きを行います。その際、外国人によく説明し理解を求めることが必要です。就業規則を交付します。場合によっては母国語でのものを作成します。

以上が、飲食店で外国人を雇用する際の流れとなります。

4.まとめ

国際化の波を受け、外国人を雇用したいと考える経営者の方は増加しています。しかし、外国人を雇用する際の手続きに不安を抱える方が多いのも事実です。基本的に、外国人を雇用する際も手続き上は日本人を雇用する場合とそれほど変わりません。

しかし、法律や文化の違いから思わぬ認識のズレが生じトラブルの元になりかねませんので、できるだけ丁寧に説明し理解を求め、書面での契約書を結び雇用する外国人からサインをもらうなどの対策をとることが必要です。

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