新卒採用はベンチャー企業にはNG?4つのメリットとデメリットから検証!

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時代のニーズを背景に、独自の技術や製品・サービスで急成長していくベンチャー企業。会社の歴史は新しいけれど勢いのあるベンチャー企業では、急成長のゆえに人材不足が慢性化していそうです。「企業は人なり」と言う言葉もあるように、企業を成長させるのも衰退させるのも人材です。

不足している人材を、いざ「採用」しようとする場合、新卒採用と中途採用の二つの方法が有ります。中途採用は経験者を採用することが多く、即戦力を期待できるでしょう。経験の無い新卒を採用することは、ベンチャー企業にとってNGなのでしょうか?

1. 新卒採用のメリット

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1−1. 優秀な人材の囲い込みができる

学生に人気の就職先は公務員や大企業が挙げられます。安定を望む姿勢が色濃く反映しています。今でも新卒での就職は、大まかな人生の道筋が見える終身雇用制を念頭に、企業を選ぶ学生が多いのではないでしょうか。

企業にとっても、働く側にとっても安心して職業人生を送れるこのシステムの上では、優秀な人材はあまり転職を繰り返しません。

そのため新卒採用を、優秀な人材を囲い込むことができる絶好のチャンスと捉えている企業は少なく有りません。また毎年新卒者を受け入れているという実績は、大学にも安定した企業と認識され、優秀な学生を紹介してもらえる利点もあります。

1−2. 限られた期間に大量に採用できる

新卒採用の最大のメリットは、短期間に大量に採用できることではないでしょうか。

大まかな流れを言いますと、3月から5月でエントリーシートを集め、6月から試験、面接などの選考を始め、10月には内定を出します。採用担当者は忙しい日々を送るでしょうが、通年採用に比較すれば、短期決戦、一括大量採用ができ、採用に関する手間とコストは格段に削減できます。

学生にとっても、就職活動は一生の職業人生を決定づける大きな活動です。必死に食らいついてくる人材かどうかを、企業側も判定しやすくなるメリットも有ります。

1−3.企業カラーに染めやすい

新卒者が一斉に4月に入社してきます。新人教育も一斉に行えます。企業にとっては、新人教育の手間を最小限に抑えることができます。

どの企業にも独自の企業カラーが有り、企業内での慣習も有ります。新卒の人材は他企業での経験が無い分、自社のカラーを受け入れやすい状況にあります。会社にとっては、教育しやすい人材と言えます。

1−4.同期入社の一体感とライバル意識を持たせることができる

「同期」同士で良い関係を築いている人達が多いのも、新卒・一括採用の良いところです。一緒に新人研修を受けた仲は、いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」と認識され、連帯感は深くなります。その一方でライバル意識を持ち、同期の中で抜きんでるために、挨拶や立ち居振る舞いなどを研鑽し、人より成長しようという向上心も高まります。

一方、新入社員を受け入れる先輩社員も、初心を思い出すいい機会になります。

2新卒採用のデメリット

2−1.応募段階で弾かれてしまう人材の存在

新卒採用は、毎年決められた時期に行われますので、タイミングが合わなかった人材は就職戦線から外れてしまいます。

例えば、

  • 海外留学をしていたため就職活動を行えなかった人
  • 運悪く病気などのやむを得ない事情で就職活動の時期に活動できなかった人
  • 大学の卒業時期が諸外国に合わせるため9月になっている人
    (実際に東京大学や早稲田大学などでも、秋入学・9月卒業が実施されています。)

個人の資質よりも、採用時期・入社時期に重きが置かれているのは勿体ないことかもしれません。

2−2. 実務経験が無いので、社員教育に時間が掛かる

新卒一括採用は、採用コストは抑えられますが、教育コストの観点から見るとどうでしょう。就職活動に際して、一般教養や面接時のマナーなどを大学側も指導します。しかし、企業が求めるすべてのことを身に付けて入社してくる新卒者など、ほとんどいないのではないでしょうか。

そこで企業各社は新入社員教育を実施するわけです。実務経験の無い新卒者は、一から(手取り足取り)教える必要が出てきます。就業規則の解説から入る会社も有りますし、出金伝票の書き方に始まって、仮払いの仕方、出張精算の仕方など、一度は教えておかないといけないことです。

中途採用の人なら分かっているはずのことも、新卒者にとっては初めて見聞きすることなので、社員教育に時間(研修期間)というコストがかかります。

2−3. 内定から実際の勤務までが長期に及ぶので、内定辞退が懸念される

学生は1つの企業だけにエントリーするわけではありません。2017年卒の学生たちは、平均45.7社の企業にエントリーシートを提出しています。(マイナビ学生就職モニター調査結果)複数の会社から内定をもらう強者も、かなりの数存在するようです。

内定から実際の勤務までのタイムラグは、せっかく採用を決めた学生から、内定辞退の申し出を受けるリスクは否定できません。名の通った大企業でも、内定辞退を見込んだ採用活動をしています。

2−4. 離職率が高い

今年の新入社員のツイッターが話題になりました。入社初日に「辞めたい」とツイートした人が、続出したようです。話題になっただけに、極端な内容に少々驚かされました。

厚生労働省の統計によりますと、全企業の平均で就職後1年以内の離職率は12.7%、2年以内の離職率は22.8%、3年以内になると離職率は31.9%にも上ります。(平成25年卒調べ)

自分の思い描いていた社会人のイメージと現実とのギャップに離職を選択したのか、会社との相性が悪くて離職したのかはさておき、新卒者は若いだけにやり直しがきくとの思いから離職率が高くなる傾向に有ります。

3.ベンチャー企業にとって有りか無しか

新卒者がベンチャー企業に就職するメリットを考えてみましょう。

  • すぐに本格的な仕事に取り組める。
  • 会社のフットワークが軽く、自分の意見を取り入れてもらえ易い。
  • 能力が評価される。

では、ベンチャー企業に就職するデメリットはどうでしょう。

  • 事業拡大を急いでいると、いきなり管理職や店長に抜擢されるため、慣れない仕事に振り回され、能力不足を補うために残業などの労働時間が増えてしまう。

どちらも実力が伴わないと、かえって大変な選択と言うことになります。裏を返せば、ベンチャー企業にとっても、新卒者を雇い入れることはその人に実績が無いだけに、ひとつの賭になります。有りか無しかと問われるなら、人を育てる余裕があるかどうかと、経営者の人を見る目、人を引き付ける魅力がポイントになってくるのではないでしょうか。

4.新卒採用する際の注意点

新卒採用には決まったスケジュールが有ります。

  • 3/1 エントリーシート受付開始、企業説明会を3月〜5月にかけて行う。
  • 3〜4月  エントリーシート結果通知、適性検査・筆記試験
  • 6/1 試験・面接開始

各社一斉にこのスケジュールで動き出しますので、出遅れては人材は手に入りません。

3月までに、どういう人材が欲しいのかを決定し、採用の準備を整えておく必要が有ります。学生も一生を左右する時期と認識していますから、のんびり採用活動をする会社に対しては、本気で向き合える会社なのか疑問に思われる可能性が有ります。

5.まとめ

急激な業容の拡大で人が足りない!ベンチャー企業に有りがちな状態です。日々拡大していく業務に対応しきれない時は、中途採用者の経験に助けられるでしょう。

しかし、長い目で見た場合、企業の人員構成を正常に保つためにも、新卒者の採用を考えるべき日がやってきます。人を育てることは社会貢献にもつながりますので、事業の展望が見え始めたら、新卒者の採用も視野に入れてよいのではないでしょうか。

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