フリーランスなら知っておくべき!9つの税金対策に注目!

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フリーランスになると、会社という枠組みに縛られない自由を手に入れ、自分らしく自分の才能を思う存分発揮することができます。

しかし、自由を手に入れるということは自分でやらなければならない義務的なことも増えていくことになります。

その中でも、最も頭を悩ますことの1つに「節税対策」があるのではないでしょうか?

ここでは、フリーランスにおすすめしたい効果的な9つの節税対策をご紹介します。

1.フリーランスの税金対策

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サラリーマンであれば、年末調整というものがあり、税金の計算は会社が行ってくれていました。しかし、フリーランスになった以上、税金の計算は自分で行わなければなりません。税金の計算は未経験者にはとても分かりづらいものです。

そして、本音を言えば「せっかく稼いだお金を税金でもっていかれてしまうのは惜しい気もする・・・」といったところではないでしょうか?

もちろん、納税は国民の義務なので、適正に納めなければなりません。しかし、支払う金額は出来るだけ最小限に留めたいものです。そこで、フリーランスが出来る効果的な節税対策を9つご紹介します。

  • 経費はもれなく全て計上する
  • 青色申告特別控除を選択する
  • 青色専従者給与を支払う
  • 小規模企業共済に加入する
  • 年金に加入する
  • 加入する健康保険を選ぶ
  • 中小企業倒産防止共済制度に加入する
  • 利用できる控除は全て活用する
  • 法人化する

1−1. 経費はもれなく全て計上する

節税対策の基本となるのは、「所得額をできるだけ少なくすること」です。経費を多く計上することができれば、より所得額を少なくすることができるので、実際に発生した経費はもれなく計上することが大切です。

ここで1つ確認ですが、「所得」と「収入」は別物だということをご存知ですか?

「収入-(必要経費+控除額)=所得」

所得とは、収入から必要経費と控除額を差し引いた金額であり、税金はこの所得額に対して課せられることになります。よって、節税のためには、必要経費をできるだけ多く計上することによって所得額を少なくすることが大切です。

もちろん、虚偽の経費を計上することは許されませんが、実際に支払った経費を計上し忘れてしまったら、その分必要経費額が少なくなってしまいます。

どんなに少額な領収書でも経費は経費です。失くしてしまわないよう保管し、節税に役立てましょう。

1−2. 青色申告特別控除を選択する

確定申告の際に、青色申告と白色申告のどちらかを選ぶことができます。白色申告の方が手間がかからず経理未経験の方でも取り組みやすいですが、節税のためには青色申告を選択することをおすすめします。

そもそも、青色申告特別控除は、適正な経理を推奨するために導入されたものです。複式簿記で経理を行った場合は65万円が、簡易簿記で経理を行った場合は10万円が青色特別控除として差し引くことができます。

きちんとした帳簿を作成するだけで、65万円が控除されるのは大変大きなメリットです。しかし、経理未経験の方の場合、複式簿記は容易には理解し難いかもしれません。

ですが、近年は法改正もあり、青色申告の煩雑さも多少軽減され、初心者でも作成しやすくなってきています。また、最近は家計簿感覚で帳簿作成ができる会計ソフトもありますので、そういったものも有効に活用しつつ、適正な経理を行って「控除額65万円」を有効に使いましょう。

1−3. 青色専従者給与を支払う

青色申告を選択すると、家族を「青色専従者」として申請した場合、青色専従者給与として支払った給与が経費として認められます(青色事業専従者給与)。経費として認められると、家族に支払った給与を売上から差し引くことが可能になるため、所得額を抑えることができます。

給与額は自由に設定することができるので、支払う税金から逆算して金額を割り出し、税金を少なく抑えることも可能です。しかし、家族であればすべて青色事業専従者になるわけではなく次のような要件を満たす必要があります。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者や親族
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
  • 6ヶ月を超える期間(もしくは事業年度の1/2超)もっぱら事業に従事している
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出している
  • 届出書に記載されている金額の範囲内で支払われている
  • 支払われた金額が労務の対価として適正な金額である

ここで注意していただきたいのは、「生計を一」ということは、事業主の稼ぎで暮らしているということを指し、必ずしも同居しているということではありません。また、仮に「その年の12月31日現在で15歳」に満たない者に支払った給与は経費として認められません。

さらに、「もっぱら6ヶ月を超える期間」は、学校に通っていた期間などは認められず、妻が外でパート勤めをしていた場合も認められません。青色事業専従者に該当するかどうか判断が難しいケースがあります。

判断に迷った場合は、届け出る際に相談することをおすすめします。

1−4. 小規模企業共済に加入する

小規模企業共済に加入することも、節税対策として有効です。

小規模企業共済は、給与所得者のように退職金が保障されていない個人事業主やその配偶者が、事業を廃止した時や解約した時に退職金のような一時金をもらえるよう積み立てをする制度で、「経営者の退職金制度」というふうにも捉えられています。

毎月の掛け金は1,000円から70,000円(年間では84万円)の範囲内で500円単位で決めることができ、掛け金は全額所得控除されます。経営状態によって掛け金を変更(増額・減額)したいという方もいらっしゃるでしょう。

金額の変更は申請すれば可能ですので、最初は少なめの金額でスタートして、売り上げが増加してきたタイミングで増額するというのも1つの方法です。この小規模企業共済を利用した節税テクニックは、所得が大きくなりそうな年(売り上げの多かった年)の12月に行うとより大きな節税効果が期待できます。

実は、掛け金を前払いすると、その年の控除に組み込むことが認められています。売り上げの多かった年に、翌年分の掛け金を前払いするとその年の所得から全額控除されますので、所得額が少なくなり大きな節税効果があります。

事業を廃止する際に、退職金のような形で一時金が手に入るのは心強いものです。また、前納分の掛け金もその年の控除に組み込めるので、売り上げが多く税金が高くなりそうな時に取り入れたい節税対策といえます。

1−5. 年金に加入する

年金の掛け金は、社会保険料控除として所得から全額控除することができるため、節税対策としても有効です。ただし、民間の生命保険会社の個人年金については、また別の計算になるので注意が必要です。

フリーランスが加入できる年金は国民年金だけだと思っている方も少なくないですが、そこに付加できる年金は3種類もあります。

【国民年金】

運営主体は国で、保険料は一律です(平成29年度は16,490円)。配偶者がいる場合はそれぞれ別に保険料を支払う必要があります。

【付加年金】

運営主体は国で、国民年金に上乗せして保険料を支払います(月額400円)。第1号被保険者のみが加入できるもので、国民年金基金との併用は認められていません。

【国民年金基金】

運営主体は国で、付加年金と同様に国民年金に上乗せして支払います。掛け金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決定されます。

掛け金の上限は月額68,000円で、個人型確定拠出年金にも加入している場合は、2つ合わせて68,000円になります。

【個人型確定拠出年金】

私的年金で、掛け金と商品を自分で選び運用します。毎月の掛け金は決まっていても、将来の受取額は運用次第で上下することがあります。

掛け金の上限は月額68,000で、掛け金全額が社会保険料控除となるため、節税対策として有効です。この個人型確定拠出年金が、一番節税効果が高いとされています。

年金も、老後の資金として大切なものです。来るべき時期に備えて準備しておくだけでなく、節税効果も期待できるため有効的に活用していきたいです。

1−6.加入する健康保険を選ぶ

健康保険料を納めると、全額を「社会保険料控除」として所得から控除することができるため、節税対策にもつながります。対象となる健康保険料は自分の社会保険料だけでなく、生計を一にする配偶者やその他親族の負担分を支払った場合でも、控除することができます。

会社勤めの場合は、健康保険料は給与から天引きされていますが、フリーランスになるとどの健康保険に加入するのか選ぶところから始まります。

選べる健康保険は次の3つになります。

【国民健康保険】

運営主体は各市区町村で、国民健康保険に関する手続きは全て市区町村役場で行います。会社を退職した場合、退職日から14日以内に手続きをしなければなりません。また、健康保険料は、前年度の収入によって増減します。

【業種別の健康保険組合】

国民健康保険組合がある業種は、土木・建築、医師、税理士、文芸・美術関連などなので、該当する業種であれば加入することができます。健康保険料は、組合ごとに決められています。

【健康保険組合の任意継続】

退職した会社で加入していた健康保険を継続することもできます。ただし、期間は最長で2年で、継続するには一定の条件があります。さらに、在職中の健康保険料の負担は会社と折半でしたが、任意継続した場合は全額が自己負担となりますので、注意が必要です。

1−7. 中小企業倒産防止共済制度に加入する

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)というものをご存知ですか?

この制度は、取引先企業の倒産によって、中小企業が連鎖的に倒産してしまうことを防止するためのもので、取引先が倒産した場合に融資をしてくれるという制度です。

倒産防止共済の掛け金は、事業所得の必要経費として認められているので、節税対策としても効果があります。掛け金は、月額5,000円から20万円までの間で、5,000円刻みで自由に決めることができ、積み立てできるのは最高800万円までです。

加入条件として、1年以上事業を行っている中小企業者とされています。倒産防止共済は節税対策の他にも、12ヶ月以上掛け金を払って解約すると「解約手当金」が受け取れるというメリットもあります。

40ヶ月以上掛け金を納付して解約すると、解約手当金は掛け金総額100%の金額で支払われます。ただし、解約手当金は事業所得の雑収入に算入されてしまうため、納税を先送りにしただけという捉え方もあります。

それでも、当面の節税対策としての利用価値はあり、なおかつ倒産のリスク回避にもなる制度なので、取り入れを検討してみるのも1つの方法です。

1−8. 利用できる控除は全て活用する

所得額を小さくするためには、「控除」を有効に活用することも重要なポイントになります。フリーランスの方はもちろんのこと、会社勤めの方も利用できる節税対策として、各種控除を活用するという方法をご紹介します。

節税に役立つ5つの控除は次のとおりです。

  • 寄付金控除(ふるさと納税など)
  • 住宅ローン控除
  • 医療費控除
  • 生命保険・地震保険料控除
  • 雑損控除

【寄付金控除(ふるさと納税など)】

寄付金控除は、特定の団体に寄付をした際、実際に寄付した金額から2,000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除できるというもので、最近話題の「ふるさと納税」もこの寄付金控除に該当します。

【住宅ローン控除】

住宅ローン控除は、最長10年間に渡って、借り入れた住宅ローンの年末時点での残高の1%を限度として、その年に支払った所得税の還付を受けられたり、来年支払うことになる住民税が減額になったりする制度です。

住宅ローンを借りたということが条件なので、新築・中古物件の購入だけでなくリフォームをした場合も一定の条件を満たせば対象になります。

【医療費控除】

医療費控除は、病院で治療のために要した治療費や、薬局などで購入した薬などの医療費を所得額から控除することができるものです。

ただし、全額が控除に適用されるわけではなく、自分や家族の分の医療費の合計額から保険適用分を差し引いた金額で、10万円を超えた部分についての金額が控除対象になります。

【生命保険・地震保険料控除】

生命保険料控除は、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の3つに分かれており、合計で最大12万円の控除を受けることができます。また、地震保険料控除は最大で5万円になります。

【雑損控除】

雑損控除は、あまり耳慣れない言葉だと思いますが、災害や盗難・横領などによって受けた損害について、所得額から控除することができるものです。対象となるのは自然災害のような予測できない被害であり、詐欺や恐喝による被害は対象となりません。

よって、振り込め詐欺などによる被害は対象となりませんので、注意しましょう。

1−9. 法人化する

フリーランスとしての事業が軌道に乗って収入が増えてくると、事業の法人化を検討する方も少なくありません。新会社法によって、現在は資本金が1円以上あれば金額を問わず会社を設立することができるので、節税のために法人化を検討してみるのも1つの方法です。

法人には、次のようなフリーランスにはない節税メリットが多くあります。

【収入が増えてもその分節税が可能になる】

フリーランスの場合は、所得が増えるほど税率も大きくなるため、所得を増やせても税負担の割合もどんどん増えてしまいます。例えば所得額が195万円以下なら税率は5%ですが、900万円以上1,800万円以下ですと33%もの税率になってしまいます。

しかし、法人化すると、支払う税金は法人税になり、法人税の税率は最高で23.9%なので同じ所得であっても税金を負担する割合が大幅に削減されます。

【社会保険へ加入できる】

法人化すると、社会保険に加入することができます。社員はもちろんですが、設立者本人も加入することができます。将来を考えると、国民年金で受け取れる年金額だけではやはり不安です。

厚生年金は国民年金の倍以上の年金がもらえるので社会保険に加入できるのは大きなメリットといえます。

【社会的信頼度が増す】

フリーランスはあくまでも個人事業主ですので、知名度からするとどうしても信頼度が低くなってしまいがちです。法人化すれば、規模は大きくなくても1つの「会社」とみなしてもらえるため、信頼度を大きくすることができます。

大きなプロジェクトを獲得する際など、法人化しておくと有利に働く可能性もあります。

 2.まとめ

税金は、支払わなければならないものなので、使える控除を最大限に利用して納得した上で気持ちよく支払いたいものです。

帳簿を付けたり税金についての知識を学んだりすることは、手間がかかり理解するのも難しいところもあるので、ついつい後回しになりがちですが、知識があればそれだけ節税にも役立てることができます。

また、節税対策をきっかけにして、現在の自分の仕事状況を再確認することもできますので、今後の活躍に有効につなげていただきたいと思います。

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