汗水たらして営業活動を行い、せっかく出した利益を税金に持って行かれるのは、どの経営者の方も納得いきませんよね。そこで、早め早めに設備投資を行ったり、保険を検討してみたりと節税にあの手この手と知恵を絞ることになります。
設備投資と同じように節税につながるものに、車両の購入が有ります。社長がいわゆるイイ車に乗っていることは、業績の安定を感じさせ、会社の信用度を上げることにも貢献します。ではどういう買い方が節税につながるか考えてみましょう。
目次
1. 節税対策に中古車購入が良い訳
1−1.減価償却とは
設備投資もそうですが資産価値のある物を会社で購入すると、減価償却で経費を落としてゆきます。
減価償却の考え方はこうです。事業などの業務のために用いられる建物、建物付属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、土地などとは違って、時が経つに従ってその価値が減って行きます。このような資産を減価償却資産と言います。
減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくこととなっています。この使用可能期間に当たるものとして、法定耐用年数が定められています。取得費用の償却方法には、定額法と定率法が有りますが、個人事業主は定額法しか選択できません。
1−2.おすすめ車種は?
車の購入には心躍る部分もあります。節税をメインに購入する車を選ぶ時のポイントは、値落ちしにくい中古車に尽きます。次項で詳しく説明しますが、4年落ちの中古車が良いと言われています。
ベンツやBMWなどの高級外車は、その筆頭になります。よく、「日本車は完璧な状態で納車されるが、外車は納車後に修理・修正を加えるので、中古車の方が価値が高くなる」などと言われる位です。
中古車市場で人気が高く値落ちしにくいとはいえ、SUV車は商用とは捉えられにくいため、避けておいた方が賢明です。ミニバンタイプの、エルグランド、エスティマ、セレナなどは幅広い支持と使い勝手の良さで選ばれやすい車種ではないでしょうか。
1−3.4年落ちがいい理由
減価償却での使用可能期間のことを法定耐用年数と言いますが、一般用の車両を新車で購入した場合、法定耐用年数は下記のようになります。
- 小型車(排気量660cc以下のもの)は4年
- 普通乗用車は6年
これが中古車の購入の場合、以下のような計算式で算出した年数になります。
- 耐用年数がすでに経過したもの・・・新車の耐用年数の20%に相当する年数
- 耐用年数の一部が経過したもの・・・(新車の耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
計算の結果1年未満の端数が出た場合は切り捨て、2年未満の場合は2年とします。
上記の計算式を当てはめて考えていきますと、普通自動車で4年落ち、軽自動車なら2年落ちの中古車から法定耐用年数が2年になります。減価償却の定率法を選択すれば、償却率は1.0となり1年で取得金額を減価償却として計上でき、節税効果が大きく表れてきます。
2.中古車と新車の節税効果の差
2−1.600万円の新車を買った場合の節税効果
3月決算の会社が4月に600万円の新車を購入したとします。法定耐用年数は6年、定率法を選択しますと、償却率は0.333になりますので、600万円×0.333=1,998,000円が当初の年度の減価償却費となり、当期の利益から減算することができます。次年度からは残高に償却率を掛けていきますので、減価償却額は少なくなっていきます。
定額法では毎年100万円ずつ6年にわたって減価償却していくことになります。
2−2. 600万円の中古車を購入した場合
では600万円の中古車を購入した場合はどうなるでしょうか。中古車で600万円としますと、軽自動車は除かれてきますね。ここで1-3でご説明した法定耐用年数が生きてきます。計算上4年落ちの中古車の法定耐用年数は2年です。
耐用年数2年の場合の償却率は1.0ですので、購入した初年度で600万円の減価償却費を計上できます。同じ600万円の支出でも約3倍の高い節税効果につながります。
3. まとめ
減価償却は1年の金額を12等分して試用期間に応じて計算します。決算直前になって利益が沢山出そうだからと車を購入するのでは、思うような節税効果は得られません。何事も計画性が重要になってきます。最新の安全装置が搭載されていること、燃費の向上などの環境性能に対する減税など、新車の魅力も否めないものが有ります。
さらに中古車には部品交換の必要性や、修理のリスクが高くなることも念頭に入れておきましょう。節税はできてもその他の経費が膨らんでは意味が有りません。購入しようとする車を十分吟味することも大切になります。