3分で納得!労働保険と社会保険の加入手続きを分かりやすく紹介

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会社を立ち上げ軌道に乗ってくると、従業員を雇い入れることを考えると思います。初めて従業員を雇用するときには、色々な手続きが必要となりますが、労働保険と社会保険に新規加入することも大事な手続きの1つです。

ここでは、労働保険や社会保険とはどういったものなのか、その加入方法や手続き方法はどのように行うのか、必要な書類はどのようなものかなど、すぐに実務で使える情報を分かりやすく説明します。

1.労働保険と社会保険とは〜初めて雇用する経営者にも簡単解説〜

労働保険と社会保険。従業員を雇い入れる際には大事な手続きだとは分かっていても、この2つにはどういった違いがあるのか、はっきりと分からないという方も少なくありません。

まずは、労働保険と社会保険とはどういうものなのか、それぞれの内容を確認してみましょう。

1−1.労働保険について

労働保険とは、「労災保険」「雇用保険」をあわせたものの総称です。労災保険と雇用保険はどのようなものなのか、それぞれについて説明します。

【労災保険】

労働基準法により、従業員が業務上でけがや病気をしてしまった場合、使用者は療養補償・休業補償・障害補償・遺族補償などの義務を負うことが定められています。これらの保障に係る費用は事業主が負担しなければならず、膨大な金額になってしまうケースもあります。

この労災に係る費用を補償してくれるのが労災保険です。従業員を雇用している企業では、原則として法人・個人を問わず適用事業所になります。正社員だけでなく、パートやアルバイトも加入させなければなりません。

【雇用保険】

従業員が失業した場合や雇用し続けることが難しくなった場合に、必要な給付を行うのが雇用保険です。このため、雇用保険イコール失業保険とイメージする方も多いでしょう。しかし、使用者側にもさまざまな助成がある保険です。

労働者の雇用を維持するための助成金や、新たな従業員を雇い入れるための助成金、従業員の処遇や職場環境を改善するための助成金など、従業員を継続雇用するための助成やキャリアアップに役立つ助成が受けられる保険でもあります。

従業員を1人でも雇ったら加入する義務があります。

【一元適用事業・二元適用事業】

労働保険では、原則として労災保険と雇用保険を合わせて保険料の申告や納付を行っており、これを「一元適用事業」といいます。一方、労災保険と雇用保険とを別々に適用している「二次元適用事業」もありますが、こちらは建設業や農林水産業などの一部の事業に適用されているのみです。

1−2.社会保険について

社会保険とは、病気やけが、高齢化、介護、失業などの将来的に起こる可能性のあるリスクに対する保障を受けられるように制度化された公的保険制度です。原則として、当人の意思に関わらず全ての人が加入する義務があります。

適用対象となる事業所の条件は次のとおりです。

  • 従業員が1人以上いる法人
  • 従業員が常時5人以上いる法定16業種の個人事業所

(16業種についてはこちらを参照→http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/koyou_rule.html

また、これら以外の事業所でも、任意に加入することができます。

【健康保険】

病気やけがなどで通院や入院した際に保障を受けられる制度です。病院の窓口で支払う医療費は、医療保険による保障を差し引いた自己負担分のみとなっています。また、医療保険は病気やけがによる長期休業や、出産・育児休業による保障も行っています。

【年金保険】

老後の生活や障害、死亡に対して保障する制度です。将来受け取れる年金額は積み立ててきた金額に応じて決定されます。また、病気やけがで障害を負ってしまった場合に障害年金が支給されたり、加入者本人が死亡しても遺族が遺族年金を受け取ることができたりします。

【介護保険】

高齢化社会という時代背景を受け、新しく制度化されたのが介護保険です。介護保険は、高齢者の自立を支援し、利用者がより多様な保険医療サービスや福祉サービスを受けられることを目的としています。

40歳以上の人が加入対象者となっています。

2.労働保険、社会保険の加入方法

従業員を雇用し、初めて労働保険や社会保険に加入する際に、どのような書類をどこにいつまでに提出すべきかについて説明します。

2−1.どこに手続きする!?

それぞれの保険は、手続先が異なります。各保険の手続き書類の提出先は次のとおりです。

【労働保険】

  • 労災保険:労働基準監督署
  • 雇用保険:公共職業安定所(ハローワーク)

【社会保険】

  • 企業の所在地を管轄する年金事務所(健康保険・年金保険・介護保険の手続きはまとめて行います。)

それぞれ提出先が異なりますので、間違えないように気を付けましょう。

2−2.雇用してからの期限はある?

それぞれの保険には手続きの期限が決められています。

各保険の手続きの期限は次のとおりです。

【労働保険】

  • 労災保険:保険関係の設立した日の翌日から起算して10日以内
  • 雇用保険:従業員の雇い入れ日の翌日から10日以内
  • 医療保険:加入義務の事実発生から5日以内

【社会保険】

  • 加入義務の事実発生から5日以内

提出期限は5日~10日と短いので、速やかに提出することが大切です。

2−3.準備するべきものは!?

提出する資料は多岐に渡りますので、提出漏れのないように気を付けましょう。

各保険の提出資料は次のとおりです。

【労働保険】

◇労災保険

  1. 労働関係設立届
  2. 労働保険概算保険料申告書
  3. 履歴事項全部証明書(写)1通

◇雇用保険

  1. 雇用保険適用事業所設置届
  2. 雇用保険被保険者資格取得届
  3. 労働関係設立届(控)
  4. 労働保険概算保険料申告書(控)
  5. 履歴事項全部証明書 原本1通
  6. 労働者名簿

【社会保険】

健康保険・厚生年金保険 新規適用届

<添付書類>

  • 法人:登記簿謄本の原本(コピー不可、90日以内に発行されたもの)
  • 個人:事業主の世帯全員の住民票の原本(コピー不可、90日以内に発行されたもの)

 

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

健康保険被扶養者(異動)届

<添付書類>

  • 健康保険被保険者証
  • 高齢受給者証・健康保険特定疾病両方受給者証・健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証(いずれも交付されている場合)
  • 課税(非課税)証明書
  • 保険料口座振替納付届出書

3.分かりやすい!実際の加入手続きを再現

では実際に、どのような手順で加入手続きを進めていくのか、雇用保険、労災保険、社会保険それぞれについて説明します。

3−1.雇用保険と労災保険の加入手続き

では、雇用保険と労災保険の加入手続きについてみていきましょう。

【雇用保険】

企業が新規に雇用保険に加入する場合は、まず「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出する必要があります。そして、「労働保険関係成立届」を提出した後に、雇用保険に加入するための「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険資格取得届」を事業所の管轄のハローワークに提出します。

なお「雇用保険適用事業所設置届事業主控」には、割り当てられた雇用保険の加入者番号が記載されていますので、大切に保管しましょう。

【労災保険】

労災保険の加入手続きは、事業所の管轄の労働基準監督署です。前出の新規加入に必要な書類が揃ったら、窓口に提出します。記載事項に問題がない場合、「労働保険番号」を担当者からもらえます。

この「労働保険番号」は、労災にあたる事由が発生した場合の申請に必要となりますので、しっかりと保管しておきましょう。労働関係成立届の控は、雇用保険加入の際の手続きにも必要となりますので紛失しないように気を付けましょう。

3−2.社会保険の加入手続き

健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入手続きは、まとめて行うことができます。加入義務が発生した日から5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出します。

もし、登記上の所在地と実際に事業を行っている所在地が別の場合には、実際に事業を行っている所在地を管轄する年金事務所に提出します。提出方法は郵送や窓口での受付の他、電子申請も可能です。

4.まとめ

労働保険や社会保険の仕組みは複雑なので、理解しづらいと感じてしまうかもしれません。しかし、初めて従業員を雇い入れる際に、労働保険としての労災保険・雇用保険、社会保険としての医療保険・年金保険・介護保険に加入することは使用者にとっての義務です。

従業員の万が一の時の補償のためにも、使用者自身のリスク回避のためにも、そして優秀な人材を雇い入れるためにも、入るべき保険にはきちんと加入し、使用者としての義務を果たすことが大切です。

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