社会保険料の節約方法!重い負担を減らす4つの方法とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
ビジネスマン画像

社会保険料は起業して法人化すると社長一人であっても強制加入になります。規模の小さい起業したての会社にとって非常に負担の重い費用となります。しかもずっと支払いが必要です。できれば少しでも節約したいものです。

ここでは、社会保険料を節約する方法について考えてみます。

1. 社会保険料の計算方法

会社勤めをしている人は自分の社会保険料をどのように確認することができるでしょうか?社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は毎月の給料から天引きされています。社会保険料は、毎月の給与額とほぼ等しい「標準報酬月額」に、一定の割合「保険料率」をかけ合わせて計算します。

つまり、健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率です

しかし普通はこの計算式を使ってわざわざ計算する必要はありません。標準報酬月額とそれに対する社会保険料額を一覧にしてまとめた「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」が、日本年金機構や健康保険協会から会社に定期的に送付されるため、標準報酬月額だけ算出すれば社会保険料額もすぐに分かるようになっています。

次に、事業者が自分の会社で負担する社会保障費を算出するときはどうすれば良いでしょうか。保険料の算定の基礎となるのは、被保険者の給与②被保険者の賞与です。一般的に保険料は被保険者になる労働者と事業主が折半して保険料を納めることになります。実際の数字を使って負担すべき社会保障費を計算してみましょう。

例として月収30万、年間給与400万のサラリーマンの場合の保険料を計算してみましょう。負担金額を表にまとめると次のようになります。(下表参照)

保険料の負担

健康保険料10.00%(全国平均)、厚生年金保険料16.766%、介護保険料1.55%(40歳以上の労働者が対象)、労働者災害補償保険0.35%(事業主にのみ負担)、雇用保険1.35% (0.35%は事業主が助成金等の財源のために多めに納付する。)、上記のから労働者と事業主の負担する保険料率は合計で30.016%になります。

つまり正規労働者を雇用すると1人に対して、15.008%の事業主負担が発生、10人雇用したとすると600万円以上の保険料が発生することになるのです。できるだけ社会保険料の無駄な支出は抑えて適正な支払いを行っていくことが重要だということがお分かりいただけると思います。

2. 合法的な社会保険料の4つの節約方法

2−1.社員の入退社時期に気を付ける

社会保険料は月末を基準に考えますので、月末に在籍しているかどうかで支払が発生します。つまり会社として採用する場合には、月初に入社してもらい、退職するならば月末の前日が有利であることになります。

①【3月28日入社で9月30日退社】ではなく→②【4月1日入社で9月29日退社】にします。たった数日間の違いですがこれだけで2ヶ月分の社会保険料が変わってきます!

①だと3月分から9月分まで負担、②だと4月分から8月分までの負担 となります。なぜなら①は3月末に在籍しているので4月分が発生し9月末にも在籍しているので9月分も発生するのです。問題がないのなら入社日と退社日は調整しましょう!

ただし注意が必要で社員に説明しなくてはならないのが、退職日を9月29日にした場合、社会保険料は8月分までかかることになり、仮に10月1日から別会社で勤務する場合、10月から被保険者となるため、9月分は自分で国民年金に加入することになります。

後で、トラブルとならないためにもこの期間の説明は必要です。

2−2.給与改定を7月に変更する

仮に、月給が25万5千円の社員の給与を5,000円昇給させると等級が1等級アップするため、月の社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)も約5,000円アップします。

そこで昇給月を4月の会社が7月に変更すると、4月から6月の保険料算定時期に影響しないため社会保険料の上昇を1年間据え置くことが可能になります。ただし従業員からすれば昇給月の変更は、就業規則の変更だけでなく、不利益と感じることもあるので必ず説明して社員に納得してもらい、同意を得ることが重要です。

2−3.賞与を12等分して月の給与に割り振る

賞与にも社会保険料は掛かります。一方で厚生年金保険の等級の上限額は月額60万5千円です。これ以上の高額な給与を受けている場合、保険料が上がることはありません。そこで、年間の賞与を12等分して月給に割り振るという方法もあります。

2−4.報酬月額の緩和要件を活用する

社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に、その年の9月から決定される決まりとなっています。仮に、3月まで総支給26万円の社員が4月から残業が増えて、4月から6 月までの平均が27万円となった場合、社会保険料の等級が上がることになります。

月あたり総額で約2,000円、会社負担が1,000円上がり、年間で12,000円の会社負担増となってしまいます。会社によっては、年度初めの3ヶ月間に業務が集中ことも想定されます。平成24年度から社会保険料の基礎となる報酬月額の計算に緩和要件が設けられましたのでこの制度を活用して社会保険料の節約することが可能です。

3. 社会保険料節約の注意点

社会保険料の節約ということでご紹介しましたが、これらの方法を実行するためには注意が必要です。

3-1.ルールの変更には社員の同意が必要

ルールの変更が有利な条件であれば問題ありませんが、不利益変更を行う場合には、必ず役員・社員の同意が必要となります。ただ就業規則を見直すだけというわけにはいきません。尚、このことは、労働契約法という法律の第9条に規定されています。

3-2.社員に制度の注意事項を説明する

例えば9月29日で退職して、10月1日から他社で働く社員がいた場合、 社会保険で退職日を月の途中に行うとその月は、被保険者ではなくなるため、8月は自分で国民年金に加入しなければ保険料納付済月数に影響します。この説明がなければ、後になってトラブルになる可能性があります。

3-3.社員にメリット、デメリットを説明し理解してもらう。

ルールの変更によって双方の目先の社会保険料負担が減ることになるが、将来の年金受給額が減額する可能性があるため、そのことを社員に説明することが重要であるということです。

4.まとめ

社会保険料は法人である以上はずっとかかってきます。経営者にとっては会社を運営していく上でかなりの費用負担です。少しでも減らせれば効果も大きいものとなります。法人化する際は社会保険の削減を検討しましょう。しかしだからと言って、経費節減がメインとなって不正を行なったり、従業員が不満を持ってしまうようなものは絶対にダメです。しっかり制度について理解することが大事です。不安な場合は社労士や税理士等の専門家に相談してみましょう。

 

SNSでもご購読できます。

© Copyright 2017 起業サポートオフィス. All rights reserved.